アンデス浜松

南米のコーヒーの旅 - 焙煎の奥深さを学ぶ




あらすじ： コーヒーの栽培を学んできた美咲は、いよいよ焙煎作業に挑むことになった。カルロスの指導のもと、焙煎の加減によって変わるコーヒーの味の違いを体験し、コーヒー作りの奥深さをさらに実感する。

朝の空気がまだひんやりとする中、美咲はカルロスの案内で焙煎作業が行われる小さな小屋に足を踏み入れた。小屋には焙煎機があり、古びた木のテーブルには各種の計量器や温度計、メモ用紙が並んでいる。カルロスが焙煎についての基本を説明し始めると、美咲は興味津々で耳を傾け、手にしたノートに丁寧にメモを取り始めた。

「焙煎の時間と温度の管理が、コーヒーの味を大きく変えるんだ」とカルロスは言う。「例えば、浅煎りは酸味が強く、フルーティーな風味が引き立つ。一方で、深煎りにすると酸味が少なくなり、苦みとコクが強くなるんだよ。」

美咲は「浅煎り」「中煎り」「深煎り」という言葉をメモに書き込み、それぞれの焙煎による味の特徴も書き加えた。そして、カルロスが手際よくコーヒー豆を焙煎機に投入し、徐々に温度を上げていく様子をじっと見つめた。

焙煎が進むと、コーヒー豆がパチパチと音を立て始めた。「この音は、豆が膨張している証拠だよ」とカルロスが教えてくれる。「この段階で止めると、酸味が引き立つ軽やかなコーヒーになる。でも、もう少し続けると甘みが増して、柔らかい味わいになるんだ。」

焙煎が終わった豆を見せてもらい、美咲はそれぞれの焙煎段階の豆の色や香りの違いを確かめた。浅煎りの豆は明るい茶色で、柑橘のようなフルーティーな香りが漂う。中煎りの豆は少し濃い茶色になり、酸味と甘みのバランスが良さそうな香りがする。そして深煎りの豆はダークブラウンで、香ばしい苦みが感じられる。

「焙煎具合で、こんなに香りと味が変わるなんて」と美咲は感嘆の声を漏らした。

カルロスは笑顔で、「その通りだよ。焙煎は職人の技が試されるんだ。ほんの少しの時間や温度の違いで、まったく違う味わいになる。それが面白くもあり、難しいところだね」と答えた。

美咲は自分でも試してみることになり、カルロスのアドバイスを受けながら焙煎機の温度と時間を細かく調整し、焙煎を行った。焙煎を終えた豆の香りをかぎ、ノートにその香りの特徴を書き込みながら、「次はもう少し温度を上げてみよう」と改善点をメモした。

最後に、自分が焙煎した豆で淹れたコーヒーを味わう時間がやってきた。浅煎りでは、驚くほど酸味が際立ち、フルーツのようなさわやかな味わいが口いっぱいに広がる。中煎りでは酸味と甘みが程よく調和し、柔らかい口当たりが感じられた。深煎りでは酸味がほとんどなく、濃厚なコクと苦みが口の中に広がり、じっくりと味わうのにぴったりだった。

「焙煎一つで、こんなにいろんな表情が生まれるなんて…」と美咲は自分の作業を振り返り、焙煎の奥深さを改めて感じた。

その夜、美咲はノートを広げ、今日の学びを振り返りながら次の挑戦に向けた計画を書き留めた。カルロスに教わった技術や、焙煎具合での味の変化を一つひとつ整理し、自分なりの焙煎に挑戦する意欲が沸いてきた。

「コーヒーって、本当に奥が深いな」

美咲の南米の旅は、コーヒーの新たな側面を発見しながら、ますます彼女の情熱を燃え上がらせるものとなっていくのだった。

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