第15話、コーヒーと笑顔の橋渡し

コーヒーと笑顔の橋渡し

第15話、コーヒーと笑顔の橋渡し




翌朝、美咲はいつもより早く目を覚ました。農園の空気はひんやりとして、遠くから鶏の声が聞こえてくる。窓を開けると、朝日に染まる緑の丘が目に飛び込んできた。「今日もいい一日になりそう」と、美咲は新しい計画のページをめくった。

秘密のティピカツアー
美咲が朝食を終えると、マルコスがにやりと笑いながら声をかけてきた。
「ミサキ、今日は面白いものを見せてあげるよ。」
「何?また新しい豆の仕込み?」と興味津々で尋ねる美咲。

「まあ、それもあるけど、今日は特別な品種を見に行こう。」そう言うと、マルコスは農園の奥へ美咲を案内した。

そこは農園の中でも特に手入れが行き届いた小さなエリアだった。風にそよぐティピカ種の木々が広がり、その場の空気だけが少し特別な雰囲気を持っている。
「ここでは、数年前から特別な栽培方法を試しているんだ。このティピカたち、去年から小さな大会で賞を取るようになったよ。」

美咲は驚きで目を輝かせた。「そんなこと、どうして早く教えてくれなかったの?」
「まあ、まだ試験段階だからね。でも、そろそろミサキの意見も聞きたいと思ってたんだ。」

美咲は木々に近づき、実をひとつ手に取ってじっと観察した。「このティピカ、きっと酸味が繊細で果実味が強い気がする。これを使って新しいローストを試したいな。」

マルコスが頷き、「やろう!ただし、君がその味を仕上げるんだ。僕たちは裏方を務めるから」と提案。美咲はその挑戦に胸を躍らせた。

笑顔をつなぐコーヒーの時間
その日の午後、美咲はティピカの新しい焙煎に挑戦した。何度も温度を調整し、香りを確かめながら豆の特徴を引き出そうと集中する。

焙煎が終わり、カップに注ぐと、果実のような甘みと豊かな酸味が立ち上る香りが広がった。近くで見守っていたアナとスタッフたちも一口飲んでみると、思わず笑顔がこぼれる。

「これ、美咲スペシャルね!」アナが冗談交じりに言うと、みんなが大笑いした。
「じゃあ名前は…『トモダチティピカ』にしようか。だって、コーヒーはいつだって人をつなぐものだから。」

その場の全員が大きく頷き、即席の試飲会は盛り上がりを見せた。

星空の下の焚き火
夜、美咲たちは農園の空き地で焚き火を囲んだ。マルコスがギターを弾き、アナが即興で歌を口ずさむ。美咲もスプーンをカップに叩きながらリズムを刻んだ。

「ねえ、みんな!次はこの農園で小さなイベントを開こうよ。地元の人たちや、近くの農園のスタッフを呼んで、私たちのコーヒーを楽しんでもらうの。」

その提案に、みんなが「賛成!」と声をそろえる。

焚き火の明かりに照らされながら、美咲はふと思った。
「ここでの挑戦や楽しみを、いつか日本に持ち帰って伝えたい。そして、もっと多くの人にこの農園の素晴らしさを知ってもらいたい。」

美咲の胸に湧き上がる思いと共に、星空はますます輝きを増していった。

アンデス浜松
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