第3話、 コーヒー栽培の学びと苦労

南米のコーヒーの旅 - コーヒー栽培の学びと苦労

第3話、 コーヒー栽培の学びと苦労


あらすじ: コロンビアのマルティネス農園に住み込みで過ごすことになった美咲は、初めて本格的なコーヒー栽培の一日を体験する。期待に満ちた気持ちで始めた作業だったが、実際の重労働と農作業の苦労に直面し、コーヒー栽培の難しさを学んでいく。

本文:

美咲は、朝の早い時間に目を覚まし、マルティネス農園の家族と一緒に朝食をとった。食卓には地元の食材を使った温かい料理が並び、少し緊張しながらも家族との食事に心がほぐれていく。カルロスが「さあ、今日からはコーヒー農園の生活をじっくりと学んでいこう」と言って微笑むと、美咲の胸にも期待と緊張が入り混じる。

美咲が最初に取りかかったのは、コーヒーの実の摘み取り作業だった。見渡す限り広がるコーヒーの木々には、赤や黄色に熟したコーヒーチェリーがたわわに実っている。熟した実を見極め、ひとつひとつ丁寧に摘む必要がある。

「この赤い実が、のちにあの香り高いコーヒーになるんだ」

そう思いながらも、体力と集中力を必要とするこの作業に次第に汗が滲み始めた。最初はリズムよく摘んでいたが、背中や腕の筋肉がだんだんと疲れてくる。手が慣れる頃には、体中がすでに重く感じられた。

午前の作業が終わり、短い休憩時間に、カルロスが美咲に「コーヒー作りは簡単なようで奥が深いんだよ。特にうちのような小規模農園では、ひとつひとつの工程がどれも欠かせない」と話してくれた。

午後からは、収穫した実を乾燥させる作業が待っていた。ここでの乾燥工程は自然乾燥が基本で、天気や湿度に左右されやすいため、農園のスタッフが細心の注意を払って管理している。美咲は、コーヒー豆が均等に乾くように実を広げたり、手作業で豆をかき混ぜたりする作業を手伝った。

「ほんの少しの手間が、最終的な味わいに大きく影響するんだ」とカルロスが言う。その言葉に、美咲はコーヒー作りの奥深さを感じた。

夕方には全ての作業が終わり、美咲は体中がだるく、腕も上がらないほどの疲れを感じていた。作業の終わりには、カルロス家族と一緒にその日収穫した豆で淹れた新鮮なコーヒーを味わった。香ばしい香りが鼻をくすぐり、一口含むとその日の疲れが一気に癒されるようだった。

「コーヒーがこんなにたくさんの手間と愛情で作られているなんて思わなかった」

美咲は、苦労の中にある喜びと達成感を感じつつ、コーヒー農園での新しい生活にますます意欲を燃やすのだった。この日、彼女はただの労働以上の学びを得て、コーヒーの奥深い世界に足を踏み入れた感覚を味わっていた。

アンデス浜松
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    この記事へのコメント
    私たちも当たり前にコーヒーを飲んでいますが、飲むまでの間には、栽培している方たちの計り知れない苦労があったんだなと思いました!

    感謝しながらコーヒーを飲みたいですね。
    Posted by スヌーピーの仲間大好きスヌーピーの仲間大好き at 2024年11月11日 09:49
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