アンデス浜松

第4話: ラ・コンパーニア・デ・ヘスス教会での出会い




次の日、隆一はキトの有名な教会「ラ・コンパーニア・デ・ヘスス」に向かうことにした。この教会は、内部がゴールドで装飾された豪華な造りが特徴で、「南米のバロック美術の最高傑作」とも言われる名所だ。隆一は朝から気持ちを引き締め、歴史ある建物を一目見ようと心を弾ませていた。

教会の前に立つと、その荘厳な佇まいに思わず息を飲んだ。外壁の精緻な彫刻や美しいファサードに圧倒され、隆一はゆっくりと中へ足を踏み入れた。内部はまるで黄金の世界。煌めくゴールドの装飾が壁一面に施され、厳かな雰囲気が漂っていた。

「すごい…これがエクアドルの文化か…」と感動に浸っていると、後ろから声をかけられた。「素晴らしいですね、この教会は。」振り返ると、そこには日本人の夫婦が立っていた。彼らは福島出身で、特に南米の音楽に強い関心を持ち、何度もこの地を訪れているとのことだった。隆一は驚きと共に親しみを感じ、すぐに会話が弾んだ。

夫婦は「健太さん」と「さやかさん」と名乗り、南米のフォルクローレ音楽をきっかけにこの地域を旅するようになったのだという。特にさやかさんは南米音楽が大好きで、現地の人たちと一緒に楽器を演奏する機会もあるのだとか。二人の話に感化され、隆一もまた音楽や文化を通じて異国の地との交流を深めてみたくなった。

教会を巡りながら、健太さんとさやかさんは南米旅行のアドバイスもたくさん教えてくれた。地元の人々と仲良くなるコツや、南米の音楽スポット、おすすめの伝統料理など、隆一にとって初めて知ることばかりだった。「旅は出会いと体験でどんどん豊かになりますよね」と健太さんが語ると、隆一も「本当にそうですね」と感慨深げに頷いた。

教会の見学を終えると、さやかさんが「午後は音楽の生演奏が聞ける場所に一緒に行きませんか？」と提案してくれた。三人は地元の小さなライブ会場に足を運び、本場のフォルクローレ音楽を堪能した。エネルギッシュなリズムに合わせて現地の人々が踊りだす光景に、隆一も思わず足を動かし、異国の文化を心から楽しんだ。

演奏が終わり、夕方になって二人と別れる時が来た。「素晴らしい時間をありがとう」と隆一が感謝を伝えると、健太さんとさやかさんも「またどこかで会えるといいですね」と微笑んでくれた。

エクアドルでの旅がただの観光以上の特別な体験へと変わり始めていることを感じ、隆一は二人との出会いに心から感謝しながら、次の冒険への期待を胸に、キトの夜景を眺めながら一人歩き始めた。

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