第9話: 加奈さんとの出会いと自然保護

第9話: 加奈さんとの出会いと自然保護

第9話: 加奈さんとの出会いと自然保護




隆一がガラパゴスに到着してから、あっという間に5日が過ぎていた。毎日が驚きと感動の連続で、アシカやウミイグアナとの出会いはもちろんのこと、この美しい自然に囲まれること自体が、彼にとって新鮮な体験だった。彼は異国の自然と文化にすっかり浸り、まるで野生の生き物たちが友人になったかのような感覚を味わっていた。

ある日、エクアドルの環境保護団体が主催するガラパゴス諸島のエコツアーに参加することにした。ツアーのガイドを務めたのは、30代の日本人スタッフである加奈さんだった。彼女はガラパゴスでの自然保護活動に熱心で、流暢なスペイン語で現地のスタッフと話しながら、隆一に対しては丁寧に日本語で説明してくれた。

「ガラパゴスの生態系はとても繊細なんです。外来種や気候変動の影響で、ここに住む生き物たちがさまざまな危機に直面しています」と加奈さんが話す。彼女の情熱に触れ、隆一は環境保護の大切さを改めて実感した。

ツアーの途中、加奈さんは観光客にはあまり知られていない秘密のビーチに隆一を案内してくれた。その場所は静寂に包まれ、透き通った青い海が広がっている。時折アシカが水中を優雅に泳ぎ、自然の美しさに隆一は思わず息を呑んだ。「こんな場所が地球に存在するなんて…」と感動し、しばらくその場に立ち尽くしていた。

ビーチでのんびりと時間を過ごす中で、加奈さんがふと隆一に尋ねた。「隆一さん、ここに来るまでに何か特別な目的があったんですか?」隆一は少し戸惑いながらも、自分の思いを語り始めた。「実はね、定年を迎えて、何か新しいことに挑戦したかったんです。家族と離れて一人でこんな旅をするのも初めてで…」と。

加奈さんは彼の話を静かに聞き、優しい笑顔で「素敵ですね」と言った。「ここでの経験が、きっと隆一さんにとって大切な思い出になりますよ。ガラパゴスの自然は、私たちに生きることの本質を教えてくれる場所です」と、彼女の言葉に隆一も深く共感した。

その後、二人はウミガメの孵化場を訪れ、赤ちゃんウミガメが海へ向かう姿を見守った。その小さな命が懸命に海へ進む様子に、隆一は「この地球で一生懸命生きているのは人間だけじゃないんだな」と心が温かくなるのを感じた。

夕方、ツアーが終わり加奈さんと別れる時、隆一は「またいつか会えるといいですね」と握手を交わした。加奈さんは「ガラパゴスでお待ちしています」と微笑んで見送ってくれた。その言葉を胸に、隆一は「またこの地を訪れたい」という新たな夢を抱いた。

アンデス浜松
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